フリーランスの方へ② お金と働き方の比べ方
売上と年収をどう比べるか

年収600万円の正社員は、
売上1,000万円の
フリーランスと同じくらい。
フリーランスから正社員に戻ると、年収が下がるように見えることがあります。
でも会社は、給料のほかにも、社会保険・有給休暇・退職金などのお金を払っています。
比べるときは、額面ではなく「全部でいくら受け取っているか」で見ましょう。
- 会社が給料とは別に払っているお金
- 売上と年収の比べ方(換算の目安)
- 年収交渉の考え方
Q1正社員になると、年収が下がって損なの?


まず社会保険。健康保険と厚生年金の保険料は、会社と本人で半分ずつ払います。年収600万円なら、会社が払う分は雇用保険などを合わせて年に約94万円です(2026年度の料率で試算)。
次に有給休暇。年に10〜20日、休んでも給料が出ます。フリーランスは休むと収入が0なので、その分は年収の約4〜8%にあたります。
そして退職金。大学・大学院卒で定年まで勤めた人の平均は1,896万円です(厚生労働省、2023年)。ただし退職金の制度がある会社は約75%で、会社によって違います。
厚生労働省の調査では、会社は社員1人に、現金の給料の約1.22倍のお金を払っています(2020年度)。
フリーランスは、国民年金(月17,920円・2026年度)と国民健康保険を全額自分で払います。病気やけがで休んでも傷病手当金はなく、仕事がなくなっても失業手当はありません。
Q2売上と年収は、どう比べればいい?

フリーランスは、営業・事務・案件と案件のすき間で、仕事をしていない時間があります。働ける時間を8割とすると、年収600万円の正社員と同じになるには売上960万〜1,000万円ほどが必要です。目安は正社員の年収の1.3〜1.7倍です。
反対に、経費や共済などの節税で取り戻せる部分もあります。「節税で取り戻せるお金」と「会社員にしかない保障(傷病手当・育休の給付・失業手当・厚生年金)」は、分けて考えましょう。

フリーランス時代に、自宅の一部を経費にするなどの節税をしていた人は、正社員になると使えなくなります。暮らしにかかるお金も見直しておきましょう。
Q3年収交渉は、どう考えればいい?
会社は、社会保険なども含めた人件費の総額で予算を組んでいます。フリーランス時代の売上をそのまま希望年収にすると、書類の段階で見送られることがあります。
| 見るもの | 考え方 |
|---|---|
| 基準の年収 | 会社員だったころの年収か、その職種の正社員の相場 |
| 売上からの換算 | 売上を1.3〜1.7で割って、正社員の年収に直す |
| 年収以外の条件 | リモート・フレックス・副業ができるかも条件にできる |
| 入社してから | 評価のしくみと、何年でどれくらい上がるかを確かめる |
戻った人の年収は、フリーランス時代の売上の7〜8割に落ち着くことが多いと言われます(人材会社の主張)。
調査では、正社員になる条件として「働き方の自由さ」(69.2%)を「今より高い年収」(57.5%)より重く見る人が多く、副業を続けたい人も約半分いました(2025年9月)。年収だけでなく、働き方でも交渉できます。
副業を認める会社は増えています。経団連の会員企業では、7割が社員の副業を認めている、または認める予定でした(2022年)。
「希望年収はいくらですか?」と聞かれたら
根拠をつけて、幅で答えます。
今の売上はおよそ900万円です。
社会保険や退職金なども含めて考えると、正社員の年収で600万円台なら同じくらいだと考えています。
そのうえで、入社後の成果に応じて上げていける評価のしくみがあるかを、大切にしたいと思っています。
ポイント売上をそのまま希望年収として言わないこと。換算の考え方を示すと、お金の感覚がある人だと伝わります。
まとめ
- 会社は給料のほかに、社会保険・有給・退職金を払っている。現金の給料の約1.22倍
- 年収600万円の正社員の価値は約770〜790万円。売上でいうと960万〜1,000万円ほど
- 目安は正社員の年収の1.3〜1.7倍。節税で取り戻せる分と、会社員だけの保障は分けて考える
- 年収交渉は換算の根拠を示し、働き方(リモート・副業)も条件にする