業界のしくみ
元請け・下請け・SES、お金と契約の流れ

同じ仕事でも、
何次請けかで
取り分が変わる。
日本のシステム開発は、元請けの下に二次請け、三次請けと会社が連なる「多重下請け」の形が多いと言われます。
公正取引委員会の調査でも、仕事が分けられて再発注され、下の会社ほど受け取る金額が低くなる構造が示されています。
働く側として知っておきたい、お金と契約の流れを見ていきましょう。
- 多重下請けとお金の流れ
- 請負・準委任・派遣の違い
- 入る前に確かめたいこと
Q1多重下請けって、どういうこと?

公正取引委員会は2022年、ソフトウェア業の下請けの取引を調べました(資本金3億円以下の会社4,739社が回答)。自社の位置は、元請け40.4%、中間の下請け38.2%、最後の下請け21.3%でした。
報告書は、発注者の金額を上限に、再発注のたびに中間の取り分が引かれるため、下の会社ほど受け取る金額が低くなると説明しています。回答の中には、6次下請けの末端で参加したことがある、という声もありました。
何もしないのに手数料だけ取る会社(いわゆる中抜き)がいると感じたことがある会社は25.9%、最後の下請けでは33.5%でした。

Q2請負・準委任・派遣は、何が違うの?

SESの多くは準委任の契約です。請負や準委任では、現場で指示を出すのは自分の会社で、お客さんの会社ではありません。お客さんが直接指示してよいのは、派遣の契約だけです。
請負や準委任の形なのに、お客さんがエンジニアに直接「この順番でやって」「今日は何時まで」と指示していると、偽装請負として違法になります。厚生労働省は、派遣か請負かは契約の名前ではなく実態で判断する、としています。
厚生労働省は、お客さんが特定の人を名指しで選ぶことは適正な請負とは認められない一方、個人を特定しないスキルシート(経歴の一覧)を求めるだけなら直ちに違法ではない、と説明しています。どこからが違反かは、個別に判断されます。
Q3お金は、どれくらい引かれるの?
国の統計では、情報処理・通信技術者の派遣料金(お客さんが派遣会社に払う額)は1日8時間あたり34,382円、本人がもらう賃金は21,032円でした(厚生労働省、2024年度の速報)。料金に対する賃金の割合は約61%です。
これは派遣の契約だけの数字で、SESに多い準委任は入っていません。料金と賃金の差には、会社の経費・社会保険料・利益が入ります。
2026年1月からは下請けの取引を守る法律が改正され、受ける側から値段の相談を求められたのに応じずに、一方的に値段を決めることが禁止されました。2024年11月にはフリーランスを守る法律も始まり、取引の条件を書面やメールで示すこと、60日以内に払うことなどが決まりました。

案件がない待機の間に会社の判断で休ませる場合は、原則として休業手当(平均賃金の60%以上)の対象になりうるとされます(労働基準法26条)。実際の扱いは個別に判断されます。
「なぜ転職するのですか?」と聞かれたら(SES・SIerの人)
前の会社を悪く言わず、得たことと次にしたいことで話します。
いまの経歴に近いものを開いてください
SESから自社開発へ
SESとして3年、ECサイトと予約システムの開発に関わりました。
いろいろな現場で技術の幅は広がりましたが、リリースした後にどれだけ使われ、どこでつまずかれているかを見ることができませんでした。
自社のサービスを長く育て、利用者の数字を見ながら改善できる環境で働きたいと考えています。
二次請けのSIerから元請けへ
二次請けのSIerで、金融機関のシステムの詳細設計と開発を4年担当してきました。
仕様を正確に形にする力はつきましたが、お客様と直接話して要件を決める段階には関われませんでした。
お客様の業務を理解して要件定義から関わりたいと考え、元請けとして案件を持つ御社を志望しました。
運用・監視から構築へ
SESでサーバーの運用・監視を2年担当し、障害の一次対応や手順書の改善をしてきました。
その中で、障害の原因になった設定を自分で直せるようになりたいと思い、クラウドの資格を取りました。
これからは構築の段階から関わり、止まらない仕組みを作る側に回りたいです。
ポイント「中抜きが嫌だった」「客先常駐がつらい」など不満だけで終わらせず、何を身につけ、次に何をしたいかを話しましょう。
まとめ
- 多重下請けでは、再発注のたびに取り分が引かれ、下の会社ほど金額が低くなる
- SESの多くは準委任。現場で指示を出すのは自分の会社
- お客さんが直接指示すると、偽装請負として違法になりうる
- 入る前に、案件の中身・選べるか・待機中の給料を確かめる